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アパレル業界のデジタル化の現状と未来

弊社は、2019年7月にアパレルメーカー向けオンライン展示会システム「FORSEE」をリリースしました。翌年の2020年初頭、コロナウイルスの蔓延により非接触型ビジネスが求められるようになり、アパレル業界でもデジタル化の重要性が急速に高まりました。しかし、それから4年が経過した現在でも、アパレル業界では依然としてサプライチェーン全体を最適化するデジタル化には及んでいません。

今回は、FORSEEがこれまで6年間にわたり大手企業から小規模事業者まで、さまざまなアパレル企業と取り組んできた経験を基に、業界全体のデジタル化を進める上で直面する構造的な問題点を明らかにし、その解決策を提案します。

なぜアパレル業界のデジタル化が進まないのか

アパレル業界でデジタル化が進まない主な理由は、多くの企業がデジタル化の具体的な目標を明確に定義できていないことにあります。これにより、部分的な改善にとどまり、効果的なデジタル化が実現できていないケースが多く見られます。

具体的な理由として以下の課題があります。

デジタル化推進を担う人材不足

システム開発においては、最終的なアウトプットや費用対効果を逆算し、適切な計画を立てることが重要です。しかし、技術的な知識を備えた人材が乏しい場合、具体的な成果や費用対効果を見据えたシステム開発の計画を立てることが困難です。その結果、投資対効果が不明確となり、効果的なシステム導入が進まない原因となっています。

アナログ作業によるデメリット

多くのアパレル企業では、紙タグの作成、集計、アポイントの獲得、サンプル管理などの業務をエクセルや紙による手作業で行っています。これらの業務は、技術的な知識があれば比較的容易にデジタル化できるにも関わらず、未だにアナログな管理が主流です。このようなアナログ業務は、ミスや情報の遅延などのリスクだけでなく、非効率的な人的リソースの使用と資本効率の低下を招く要因となっています。

部署やメンバー間による情報の分断

各部署やメンバーが独自のシステムや独自の管理方法で業務を行っているため、管理すべき情報や重要指標が部署ごとに分断されていることがあります。このような状況では、横断的なデジタル化推進が困難であり、組織全体での効率化やデータの有効活用が阻まれています。

これらの課題を解決するためには、企業がデジタル化の具体的な目標を明確に設定し、部署間の連携を強化しながら、戦略的なシステム導入を進めることが不可欠です。

デジタル化を進めることのメリット

アパレル業界においてデジタル化を推進することは、多くのメリットをもたらします。デジタル化により、過去から現在に至る膨大なデータを分析可能な状態にし、データ分析に基づいた意思決定が可能になります。さらに、テキスト情報のデータだけでなく、AIを活用した画像解析により、リアルタイムにトレンド予測をすることも可能です。

AI活用においては、人が行うにはコストが高すぎる作業を人の何倍ものスピードでほぼ無制限に行うことができ、圧倒的な生産性の向上を実現します。例えば、画像解析では膨大な枚数の写真をAIで迅速かつ正確に選別します。また、ChatGPTなどの生成AIでは顧客に最適化した営業メールを作成し、営業メールやメールマガジン配信を半自動化したり、音声データから議事録を自動作成することも可能です。

さらに、デジタル化を進めることで、顧客体験を大幅に向上させることが可能です。オンラインでの受発注プロセスを効率化し、企業が保有するデータを活用することで、顧客にとって有益な情報をタイムリーに提供でき、顧客満足度を一層高めることができます。これにより、アパレル企業は競争力を強化し、業務の効率化と顧客満足度の向上を同時に実現することができます

費用対効果を考慮したシステム開発

IT投資は、目標を明確にし、そのゴールから逆算して最適なITソリューションを導入することで最大の効果を発揮します。部分的なシステム導入の組み合わせでは、システム開発によって得られる利益から開発費用を差し引くとマイナスになる可能性があります。

例えば、月に20時間の業務を効率化できるシステムを開発する場合、一人あたり月4万円以下のコストで抑えられないと導入は不適切です。しかし、システムを100名で利用する場合、得られるメリットが月400万円相当になるため、導入コストと比較して大きな費用対効果を得られます。利用人数と時間の総量が多いほど、システム導入のメリットが高まります。

弊社がシステム開発に取り組む際の手順

  • 1. 企業の現状を把握する

    クライアントの業務プロセスや抱えている課題を詳細にヒアリングし、現状を正確に把握します。このステップでは、現在の運用方法や利用中のシステム、組織全体におけるデジタル化の進捗状況などを総合的に確認します。

  • 2. デジタル化すべき業務を精査

    デジタル化の対象となる業務を精査します。業務プロセスを詳細に分析し、システム開発によって最も大きな効果が得られる業務を特定します。その上で、費用対効果が最大となる業務に優先順位を設定し、効率的なデジタル化を推進します。

  • 3. 可視化できるデータを抽出

    デジタル化成功の鍵は、適切なデータの収集と可視化にあります。現行の業務フローにおいて、デジタル化されていないアナログデータも含め、どのデータを収集し、分析・活用できるかを徹底的に検討します。

  • 4. システムの開発工数と費用対効果を検証

    システム開発に必要な工数を見積もり、費用対効果を検証します。まず、システム導入後の具体的な目標を設定し、それを達成するための開発期間とコストを算出します。その上で、この投資がクライアントにもたらすリターンを明確にします。また、この段階で、現行のIT運用に無駄なコストが発生していないかを精査し、コスト効率を最適化します。

  • 5. システム開発のマイルストーンとゴールを設定する

    プロジェクトの進捗を管理するために、具体的な開発の節目となるマイルストーンと最終的なゴールを設定します。マイルストーンは、柔軟な開発手法(アジャイル開発)を取り入れることで、システム要件のバージョンアップを随時行うことができます。これにより、各段階で達成すべき目標を柔軟に調整しながら進捗を管理し、最終的にクライアントのニーズに最も適したシステムを作り上げることができます。

  • 6. ワイヤーフレームを用いて、クライアントとの認識の擦り合わせ

    システムの基本設計としてワイヤーフレームやモックを作成し、UI/UXの目線でクライアントと共有します。システムの具体的な操作イメージを共有することにより、設計段階での認識の齟齬を防ぎ、クライアントの期待に沿ったシステム開発を進めます。

  • 7. 最短で検証用プロダクトを開発する

    まず、最短期間で検証用プロダクト(MVP:Minimum Viable Product)を開発し、クライアントに提供します。MVPは、システムの中核となる機能に焦点を当て、最も早く効果を実感できるコア部分を開発します。これにより、早期にフィードバックを収集し、必要な修正や改善を迅速に反映させることができます。

  • 8. プロダクトの検証

    検証用プロダクトを実際の運用環境でテストし、システムのパフォーマンスを評価します。このテストフェーズで、業務運用との整合性や潜在的な問題点を洗い出し、改善すべき点を明確にして最適化を図ります。

  • 9. 本番用プロダクトの開発

    検証結果を踏まえ、最終的な本番用プロダクトを開発します。この段階では、アジャイル開発によって開発済みの全ての機能を統合し、全体としてのシステムが完成します。最後に、システム全体の品質を確認し、リリースに向けた最終調整を行います。

  • 10. システムの実装とクライアントへのオンボーディング

    完成したシステムをクライアントの環境に実装し、クライアントに対してオンボーディング(初期導入説明)を行います。また、システム運用マニュアルを提供し、クライアントが新しいシステムをスムーズかつ効率的に運用できるよう、属人化を避けたサポートを提供します。

  • 11. 運用サポート

    システム導入後も、クライアントがシステムを効果的に活用できるよう、継続的な運用サポートを提供します。これにより、システムの安定した運用をサポートし、必要に応じて迅速な対応や改善を行います。

  • 12. システムの継続的な改善

    導入後も、クライアントのフィードバックや運用状況を基に、システムの継続的な改善を行います。必要な機能追加や改善を適時実施し、システムの価値を最大限に引き出します。また、新規事業向けのIT開発やサードパーティとの機能連携といった、個別のご相談にも柔軟に対応しています。

本白書は、アパレル業界全体が直面するデジタル化の課題に取り組むとともに、業界におけるデジタル化の重要性への理解を深めていただくために作成しました。これにより、企業の皆様がより効果的なIT活用の方法を見出し、デジタル化を推進するための一助となることを目指しています。今後も弊社は、デジタル化を推進する企業と共に、アパレル業界全体の生産性向上と持続可能な成長をサポートしていきます。

2024年10月
株式会社バイナウ / FORSEE DX推進チーム一同

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